(26日、春季兵庫県高校野球大会2回戦 東洋大姫路4―1三木)
試合後、東洋大姫路の岡田龍生監督の賛辞は止まらなかった。
「あいつのヒットはめっちゃでかかった」
「ほんまによう、あそこで打ってくれたな、と」
七回に代打で登場して勝ち越し打を放った背番号19、瀬口稜介(1年)のことだ。
打線は五回まで1安打しか打てず、苦戦していた。1―1で迎えた七回1死二塁の好機。岡田監督は「シート打撃練習でよく打っていたし、代打の1番手は瀬口と決めていた」。
その瀬口は「緊張はしていなかった」と振り返る。これが高校の公式戦初打席。カウント3ボール2ストライクから「狙っていました」とカーブを中前にはじき返した。盛り上げる先輩たちに向けて、塁上で小さく会釈。流れに乗った打線は終盤に加点し、初戦を突破した。
大阪府出身。身長177センチ、体重86キロの捕手で、持ち味はフルスイングだ。全国の強豪校の中でも「練習がすごく良い雰囲気だった」と、昨秋の近畿王者となった東洋大姫路に進んだ。
この日、ベンチ入りした1年生は瀬口を入れて2人だけ。「うれしいです。(ベンチに)入れると思わなかったので」と謙遜しつつ、「代打でも出られるようにずっと素振りをしていた」と準備を怠らなかった。
今春の選抜大会は2回戦敗退。全国で上位に食い込むためにも、岡田監督は選抜に出ていない選手の台頭を求めていた。「今日みたいに瀬口が出て頑張ってくれると、(チームは)活性化していく」と期待を込める。
瀬口は「甲子園に『行く』じゃなくて『優勝する』という目標でやっていきたい」と宣言。48年ぶりの全国制覇に向けて、頼もしい新戦力が加わった。